費用
墓じまい費用は誰が払う?兄弟・親族での分担と決め方
墓じまい費用を誰が払うかについて、長男が払う、兄弟で均等に払うという一律の法律上のルールはありません。民法897条はお墓などの祭祀財産の承継に関する規定で、墓じまい費用の負担割合を直接定めるものではありません。実際には、墓地使用者や祭祀承継者を中心に、兄弟・親族それぞれの事情を踏まえ、費用の内訳を確認して話し合うことが大切です。
公開 2026.09.25

墓じまい費用は誰が払う?まず結論
墓じまい費用の負担者は、法律だけで長男・兄弟・親族の誰かに決まるものではありません。まず、現在の墓地使用者やお墓を管理してきた人、祭祀承継者の状況を確認し、工事費・寺院関係・改葬先の費用を分けて、関係する家族で合意を目指します。誰かが立て替える場合も、負担の考え方と精算方法を先に共有しておくと行き違いを減らせます。

民法897条と祭祀承継者の意味
民法897条は、系譜、祭具、墳墓などの祭祀財産を誰が承継するかについて定める規定です。被相続人の指定、慣習、家庭裁判所の定めという順で、祖先の祭祀を主宰すべき人が承継する仕組みを示しています。一方、この条文は墓じまい費用を誰が何割負担するかを直接定めていません。
祭祀承継者は、相続人や長男と常に同じ人になるとは限りません。また、墓地の使用契約上の名義人・連絡先が誰か、実際に管理してきたのは誰かも、話し合いで整理したい事実です。改葬では市町村長の許可が必要になるため、手続きの流れは墓じまいの手続き早わかりも確認してください。
墓じまい費用の負担で考えられる3つのパターン
家族の事情によって選びやすい考え方は異なります。以下は話し合いのたたき台であり、いずれかが法律上の正解という意味ではありません。
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| 考え方 | 向いている場面 | 決める前に確認すること |
|---|---|---|
| 墓を管理・承継する人が中心 | 日頃の管理や手続きを一人が担ってきた場合 | 他の親族がどこまで協力・負担するか、立替分をどう扱うか |
| 兄弟・親族で分担 | 複数人が墓じまいの必要性に納得している場合 | 対象費用、割合、支払時期、見積もりの承認方法 |
| 生前に本人を含めて決める | お墓の名義人や親が判断・準備できる場合 | 希望する供養先、資金の準備、家族への共有、契約書類の保管先 |
まずは「誰が払うか」だけを急いで決めず、何に費用がかかるのか、誰が手続きや連絡を担うのかを同じ場で確認します。支払いの話は、複数の見積書と供養先の条件がそろってからの方が具体的に進めやすくなります。
たとえば、現在の墓地の返還手続きと墓石撤去を管理してきた人が進め、新しい納骨先を希望する親族がその費用を負担する考え方もあります。反対に、費用を分ける代わりに、連絡・書類・現地立会いは一人に任せる場合もあります。お金だけでなく、時間や実務の負担も含めて、全員が納得できる形を探しましょう。
長男だから全額払う必要がある?
長男であることだけを理由に、墓じまい費用を全額負担しなければならないという一律のルールはありません。家の慣習として長男が管理を担ってきた場合でも、費用の負担まで家族がどう考えるかは別に話し合う必要があります。
長男が名義人・連絡先・手続きの窓口になる場合はありますが、そのことと家族内の費用分担は切り分けて確認しましょう。親族の希望が供養先の選択や工事の範囲に反映されるなら、決定の過程と見積もりを共有することも大切です。
親世代から「長男が見るもの」と聞いていたとしても、現在の居住地、墓地への距離、健康状態、他のきょうだいの関わり方は家庭ごとに違います。慣習を尊重したい人がいる場合も、費用・作業・連絡のどれを引き受けるのかまで言葉にして、無理のない役割分担にします。
兄弟で払うならどう分ける?
兄弟で負担する場合に、正しい割合が一つに決まっているわけではありません。支払いが難しい人を責める前に、費用の内訳と各人の事情を共有し、実行できる方法を選びます。
- 総額を均等に分ける
- 収入や貯蓄、介護・管理の負担など支払能力を考慮する
- お墓を管理する人が多めに出し、他の人が一部を負担する
- 墓石撤去と、新しい供養先・納骨にかかる費用を分けて考える
どの方法でも、見積書の対象範囲、誰がいつ払うか、追加費用が出た場合の扱いを、メールやメモで残します。見積書で見る点は墓じまいの見積もりで確認すべき項目を参考にしてください。
立替払いをする人がいる場合は、「誰が契約者になるか」「請求書の宛名は誰か」「いつ、どの口座へ精算するか」も決めます。工事費だけを分けても、納骨先の申込金、法要、遺骨の運搬費などが後から出ると不公平感につながりやすいため、対象外の費用を先に挙げておくことが有効です。
負担割合を決める前に何にいくらかかるか整理する
負担割合は、総額があいまいなままでは決めにくいものです。墓じまいには撤去工事以外の費用もあり、誰がどの項目を負担するかを整理すると、話し合いの対象が明確になります。
- 墓石撤去・基礎撤去・原状回復
- 改葬許可申請などの手続きや書類取得
- 閉眼供養、お布施、離檀に関する寺院とのやり取り
- 永代供養墓、納骨堂、樹木葬など新しい供養先
- 遺骨の取り出し、洗骨、運搬、親族の交通費などその他の費用
項目ごとの考え方や見積もり前の確認点は、墓じまい費用の総合ガイドで整理しています。寺院から離れる際の費用に不安がある場合は、離檀料の確認ポイントもあわせて確認しましょう。
相続財産から払えばよい?
墓じまい費用を相続財産から当然に支出できる、または相続人が当然に負担すると、一律に考えることはできません。遺産分割の状況、祭祀承継、墓地・工事・供養先との契約関係、他の相続人の意向などで確認すべき点が変わります。
遺産から支出する案を考えるときは、誰が契約するか、遺産分割との関係、他の相続人の同意の有無を先に確認してください。争いがある、金額が大きい、相続放棄や成年後見が関係する場合は、自己判断で進めず弁護士・司法書士・税理士など適切な専門家へ相談しましょう。
特に、相続の手続きがまだ終わっていない段階では、墓じまいの必要性や支出の時期についても意見が分かれることがあります。見積書、墓地使用契約、親族間で確認した内容を保管し、専門家に相談する際に状況を説明できるようにしておくと、判断を仰ぎやすくなります。
誰かが費用を払えない場合は?
すぐに全額を出せない人がいるなら、負担割合を再検討し、同じ条件で見積もりを比較します。撤去範囲や新しい供養方法を見直す余地があるか、墓地管理者・寺院・供養先へ早めに相談することも選択肢です。
自治体によっては墓地に関する制度や相談窓口を案内している場合があるため、墓地所在地の自治体にも確認してください。ただし、利用できる制度や条件は地域ごとに異なります。費用を払えない場合の具体策は個別事情が大きいため、ここでは概要にとどめます。
費用でもめないために家族で確認すること
話し合いでは、結論だけでなく前提をそろえることが重要です。次の項目を一度に共有すると、費用と供養の希望を分けて話せます。
- なぜ今、墓じまいをするのか
- 現在誰が管理し、墓地の名義・連絡先は誰か
- 遺骨をどこへ移し、誰がお参り・連絡を担うか
- 見積もりを含めた総額と、追加費用が出る条件
- 誰がどの費用を、いつまでに負担するか
- 新しい供養先の管理費など、今後の維持費
- どの親族に、いつ、どこまで説明するか
話し合いのあとには、決まったことだけでなく、保留にしたことと次に確認する人も共有します。遠方の親族がいる場合は、見積書や供養先の資料を写真・PDFで送ると、金額だけが先に伝わることを避けられます。全員の同意が必要かは、墓地の規則や契約内容によっても確認してください。
費用以外でも親族トラブルは起こる
親族間では、費用だけでなく「墓じまい自体に賛成か」「遺骨をどこへ移すか」「寺院へどう伝えるか」で意見が分かれることがあります。祭祀承継者や名義人だけで結論を急ぐより、関係者の希望を聞き、決まった内容と理由を共有する方が納得を得やすくなります。
たとえば、合祀や散骨のように後から遺骨を取り出しにくい供養方法は、費用だけでは決められません。菩提寺との関係や、親族が今後お参りする場所を望むかも確認します。話し合いが進まないときは、先に改葬・工事を契約せず、争点と必要資料を整理することが大切です。
新しい供養先の選択は費用と切り離せません。供養方法ごとの違いは墓じまい後の遺骨の供養方法と選び方で確認できます。工事や供養先の対応範囲を比べる際は、墓じまいサービスの比較ページも活用してください。
まとめ|「誰が払う」より先に家族で負担方法を決める
墓じまい費用は、長男・兄弟・祭祀承継者のいずれかが当然に全額負担するものと決めつけず、墓地の管理状況、費用の内訳、家族それぞれの事情から負担方法を決めます。見積もりと供養先の条件を共有し、誰が何を担うかを記録してから進めることが、費用面と親族間の行き違いを減らす第一歩です。
主な出典
- e-Gov法令検索 民法(第897条)(2026年9月25日確認)
- 厚生労働省 墓地、埋葬等に関する法律の概要(2026年9月25日確認)
- 厚生労働省 墓地、埋葬等に関する法律(2026年9月25日確認)
- 国民生活センター 墓・葬儀サービス(2026年9月25日確認)